Apple Event ”Let Loose.”の感想
Appleにとって最高のiPadの発表になるはずだった今回のイベント。発表された製品自体は良かったと思うけど、それとは別の部分で注目されるという残念な結果になってしまった。南無三。
今使っているiPad Pro(11インチの第1世代)は画面の一部が黄色くなっており、電源ボタンもやや陥没してしまっているということで今回発表されるiPad Proへの買い替えは必須な状況だったので、いつも以上に自分ごととしてドキドキしながらイベントを拝聴した。
各製品について感じたことを書く前に、世界的に?炎上したあのプレスの件について触れないわけにはいかない。楽器などの作った人へのリスペクトに欠けるとか、iPadはそれらの代わりにはならないだろうとか、色々なご意見はある中、リアルタイムであの映像を見ていて、自分はそこにリスペクトが欠けるという風には受け取らず、iPadはあれらを圧縮してできているんですよというAppleのメッセージを素直に受け取った人間だった。映画などで物が壊されるという表現に日頃から接していて、その部分について麻痺してしまっているのかもしれない。
閑話休題。
リアルタイムでイベントから得た情報と、後日AppleのホームページやSNSで得た情報も交えての感想。あと興味がないiPadとFinal Cut Pro、Logic Proについては割愛。
iPad Air
iPad Proに続いてAirにも13インチのデカいバージョンが登場。そして容量のラインナップも増えた。M2搭載であったりと性能的にはiPad Proに近いけれども、今まで同様Pro MotionやFace IDが非搭載で自分にとっては致命的な部分でProと差別化されており、Airを選ぶという選択肢は自分にはなかった。とはいえ、普段使いするなら十分すぎるスペックなので、多くの人がAirで満足できるのではないかと思う。気をつけないといけないところとして、新しいiPad Pro同様、Apple Pencil(第2世代)には対応していないので、Apple Pencil(USB-C)を持っていない場合は新しくそれかApple Pencil Proを買わないといけない点。
iPad Pro
満を持してOLED搭載。そしてタンデムOLEDとNano-textureディスプレイガラス(オプション)というサプライズまで出てきた。前回のmini LEDのときと異なり、13インチだけでなく11インチもOLED搭載ということで一安心。Nano-textureディスプレイガラスはクリーニングクロスに専用のものが必要ということで、繊細で取り扱いに注意しないといけない印象があり、使っている間にダメにならないかとても心配。グレアよりもアンチグレアな画面が好きな人間なので、ガシガシ使っても問題ないのであれば、iPhoneやMacBookにも順次採用してほしいところ。
AirがM2だったので、ProはM3搭載かと思ったら、これまたM4搭載というサプライズパート2。とはいえ個人的にはM3で十分だと思っていたので、そこまで嬉しい驚きでなかったのが正直なところ。こちらもNano-textureディスプレイガラス同様、256GB・512GBモデルと1TB・2TBモデルとで差別化されているようだけど、増えるのは高効率コアではなく高性能コアなので、動画編集など高性能コアを多用しない自分にとって影響は小さい。
ただ、メモリが8GBと16GBとで違う点は気になる。こちらもおそらくは自分の使い方では影響が小さいとは思うけど、メモリはデカければデカいほどいいという考えに縛られているので、1TBモデルの誘惑がすごい。
Airもだけど、フロントカメラが横向きになったのは大変喜ばしい。何回か今のiPad Proでオンライン会議的なものを行なっていて、横置き状態だと写りがあまりよろしくなかったので。
厚さが過去最高に薄いことについては、自分の持っているiPad Proが出たときに話題になった筐体の歪みがまた出てくるのではないかという不安があり、素直には喜べなかった。iPhone7の薄さに感動した経験からも薄くなることは喜ばしいことであると頭ではわかっているのだけれど。Airより薄く軽くなってしまったことから、厚さを薄くするよりバッテリー容量を増やして使える時間を長くしてくれた方が正直良かった。軽くないAirに意味はあるのか?
カメラによるスキャンで影ができないようアダプティブTrue Toneフラッシュなるものが新しく搭載。日本語のOCR精度の高さも相まって、最近よくカメラでスキャンするようになった自分には渡りに船の新搭載。後から調べたらiPhone Pro 14以降にはすでに搭載済みだけど、スキャンの性能が上がるということは今まで触れられてこなかった(と思う)ので、フラッシュだけで性能が上がるということでもないのかもしれない。
色はシルバーとスペースブラックの2種類。以前はスペースグレーにしたので、今回はシルバーにしようかと思っていたけど、スペースブラックなiPadがどんなものなのか興味があるので、発売開始以降、お店で実物を見てみたい。
ひっそりと触覚フィードバックの搭載を願っていたけど、残念ながら今回は搭載されず。あると助かるのはソフトウェアキーボードで文字を打つ時なのだけれど、Appleからすればそれはハードウェアキーボードに課金してほしいということなのかもしれない。
Apple Pencil Pro
スクイーズ、バレルロール、触覚フィードバックが新しく搭載。触覚フィードバックが搭載されるのは嬉しいけど、買い換えるまでもないかという。ただ残念ながら今回iPad Proを買い替えるならこちらも買い替えないといけない。前述の通り自分が今使っている第2世代のApple Pencilに非対応なので。
「探す」で探せるようになった。自分は今までApple Pencilを紛失しかけたことがないけど、確かにすぐどこかに行ってしまいそうなものではあるので、これも良い改良点だと思う。
ジョブス亡き後の他の製品同様、ティム・クック下でのイノベーションはないけど順当なアップデートであったと思う。ハードウェア的にイノベーションを起こすのは正直かなり難しいと思っているので、そういうのは6月のWWDCでの発表に期待している。
買い替えるiPad Proの容量だけ悩めばいいかと思ったら、Nano-textureディスプレイガラスやらメモリやら選択肢が色々とあるので、すぐにポチるわけにもいかず。実際買った人の感想やら店舗での実機を確認してからスペックを決めてポチることになりそう。